「特定技能」の在留資格について

特定技能1号、2号の在留資格は、深刻な人手不足の状況に対応するため、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人の方を受け入れる制度です。2019年から始まった制度です。
◇特定技能外国人を受け入れる分野
生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお,人材を確保することが困難な 状況にあるため,外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野 (特定産業 分野)です。具体的には以下の表ような分野となっています。
また、人材が不足している地域の状況に配慮し、大都市圏その他の特定地域に過度に集中して就労することとならないよう,必要な措置 を講じるよう努める特定産業分野と従事する業務が定められています。

1.特定技能の概要

1.特定技能1号

特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
在留者数は、184,193人(令和5年8月末現在)とのことです。(入国管理局資料より)
特定技能1号のポイントは以下の6項目あります。
特定産業分野
特定技能1号の分野は、介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の分野になります。
在留期間

1年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間ごとの更新(通算で上限5年まで)

技能水準

試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)。

日本語能力水準

生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認。
(技能実習2号を修了した外国人は試験免除)

家族の帯同
 基本的に認められない。
支援
 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象。

特定技能の在留資格については、外国人を受け入れる機関について、多くの遵守事項があり、それらを全て満たさなければ特定技能の在留資格を持つ外国人を雇用することはできません。

 

※登録支援機関とは
登録支援機関とは、個人又は団体が受入れ機関からの委託を受けて特定技能外国人に住居の確保その他の支援を行います。出入国在留管理庁長官による登録制になっています。

 

2.特定技能2号

特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
在留者数:17人(令和5年8月末現在)とのことです。(入国管理局資料より)
特定技能2号のポイントは以下の6項目あります。
特定産業分野
介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の分野になります。なお、介護分野以外は特定技能2号でも受入れ可となっています。
在留期間
 3年、1年又は6か月ごとの更新。
技能水準
 試験等で確認。
日本語能力水準
 試験等での確認は不要。
家族の帯同
 要件を満たせば可能(配偶者、子)。
支援
 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外。

 

3.特定技能12分野の概要

所管 分野 従事する業務

雇用形態

厚労省 介護

身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴,食事, 排せつの介助等)のほか,これに付随する支援業務(レクリ エーションの実施,機能訓練の補助等) (注)訪問系サービスは対象外。   
〔1業務区分〕                                  

直接

【人材条件】
・介護技能評価試験
・国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験
(上記に加えて)介護日本語評価試験

ビルクリーニング

・建築物内部の清掃                                   
〔1業務区分〕

直接

【人材条件】
・ビルクリーニ ング分野特定技能1号評価試験
・国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験

経産省

素形材・産業
機械・電気電
子情報関連製
造業

・機械金属加工
・電気電子機器組立て                                  
・金属表面処理
〔3業務区分〕

直接

【人材条件】
・製造分野特定技能1号評価試験
・国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験

国交省 建設

・土木
・建築                                               
・ライフライン・設備
〔3業務区分〕

直接

【人材条件】
・建設分野特定技能 1号評価試験 等
・国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験

造船・
舶用工業

・溶接    ・仕上げ
・塗装    ・機械加工                                     
・鉄工    ・電気機器組立て
 〔6業務区分〕

直接

【人材条件】
・造船・舶用工業分野特定技能 1号試験等
・国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験

自動車整

・自動車の日常点検整備、定期点検整備、特定整備、特定整備に付随する業務       
〔1業務区分〕

直接

【人材条件】
・自動車整備特定技能評価試験 等
・国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験

航空

・空港グランドハンドリング(地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務棟)                
・航空機整備(機体、装備品当の整備業務棟)     
〔2業務区分〕

直接

【人材条件】
・特定技能評価試験(航空分野:空港グランド ハンドリング 又は航空機整備)
・国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験

宿泊

・宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供 
〔1業務区分〕                       

直接

【人材条件】
・宿泊業技能測定試験
・国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験

農水省 農業

・耕種農業全般(栽培管理,農産物の集出荷・選別等)                         
・畜産農業全般(飼養管理,畜産物の集出荷・選別等)   
〔2業務区分〕

直接
派遣

【人材条件】
・農業技能測定試験(耕種農業全般 又は畜産農業全般)
・国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験

漁業

・漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安
全衛生の確保等)
・養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理、養殖水産動植物の収獲(穫)・処理、安全衛生
の確保等)                                         
〔2業務区分〕

直接
派遣

【人材条件】
・漁業技能測定試験(漁業、養殖業)
・国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験

飲食料品製造業

・飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生)          
〔1業務区分〕           

直接

【人材条件】
・飲食料品製造業技能測定試験
・国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験

外食業

・外食業全般(飲食物調理,接客,店舗管理)                       
〔1業務区分〕 

直接

【人材条件】
・外食業技能測定試験
・国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験

 

4.就労までの流れ

特定技能の就労までの流れは以下のように大きく2通りの方法があります。
1)海外から来日するケース

@技能実習2号を良好に修了した外国人

※試験(技能・日本語)は免除。

 

求人募集に直接申し込む/民間の職業紹介事業者による求職のあっせん

〔受入れ機関と雇用契約の締結〕
・受入れ機関等が実施する事前ガイダンス等
・健康診断の受診

在留資格認定証明書交付申請・交付

査証申請・発給後、日本に入国、特定技能での就労開始。

A新規入国予定の外国人

国外試験(技能・日本語)に合格

求人募集に直接申し込む/民間の職業紹介事業者による求職のあっせん

〔受入れ機関と雇用契約の締結〕
・受入れ機関等が実施する事前ガイダンス等
・健康診断の受診

在留資格認定証明書交付申請・交付

査証申請・発給後、日本に入国、特定技能での就労開始。

 

 

2)日本に中長期で在留している外国人のケース
中長期の在留許可のある方の場合です。

@技能実習2号を良好に修了した外国人

※試験(技能・日本語)は免除。

 

求人募集に直接申し込む/ハローワーク・民間の職業紹介事業者による求職のあっせん

〔受入れ機関と雇用契約の締結〕
・受入れ機関等が実施する事前ガイダンス等
・健康診断の受診

在留資格変更許可申請・許可

特定技能での就労開始。

A留学生など

国外試験(技能・日本語)に合格

求人募集に直接申し込む/ハローワーク・民間の職業紹介事業者による求職のあっせん

〔受入れ機関と雇用契約の締結〕
・受入れ機関等が実施する事前ガイダンス等
・健康診断の受診

在留資格変更許可申請・許可

特定技能での就労開始。

 

技能試験とは


・特定産業分野の業務区分に対応する試験
<日本語試験>
・国際交流基金日本語基礎テスト(国際交流基金)
 又は
・日本語能力試験(N4以上)
(国際交流基金・日本国際教育支援協会)など

 

5.特定技能に関する基準について

特定技能外国人に関する基準
■ 特定技能1号,特定技能2号に共通の基準
@ 18歳以上であること
A 健康状態が良好であること
B 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること
C 保証金の徴収等をされていないこと
D 外国の機関に費用を支払っている場合は,額・内訳を十分に理解して機関との間で合意して
 いること
E 送出し国で遵守すべき手続が定められている場合は,その手続を経ていること
F 食費,居住費等外国人が定期に負担する費用について,その対価として供与される利益の内
 容を十分 に理解した上で合意しており,かつ,その費用の額が実費相当額その他の適正な額
 であり,明細書その 他の書面が提示されること
G 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
■ 特定技能1号のみの基準
@ 必要な技能及び日本語能力を有していることが,試験その他の評価方法により証明されてい
 ること(た だし,技能実習2号を良好に修了している者であり,かつ,技能実習において
 修得した技能が,従事しよう とする業務において要する技能と関連性が認められる場合
 は,これに該当する必要がない)
A 特定技能1号での在留期間が通算して5年に達していないこと
■ 特定技能2号のみの基準
@ 必要な技能を有していることが,試験その他の評価方法により証明されていること
A 技能実習生の場合は,技能の本国への移転に努めるものと認められること

 

受入れ機関に関する基準@
受入れ機関は、1号特定技能外国人に対して「特定技能1号」の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画を作成し、当該計画に基づき支援を行わなければなりません。

 

■特定技能雇用契約が満たすべき基準
@ 分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること
A 所定労働時間が,同じ受入れ機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であ
 ること
B 報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること
C 外国人であることを理由として,報酬の決定,教育訓練の実施,福利厚生施設の利用その他
 の待遇に ついて,差別的な取扱いをしていないこと
D 一時帰国を希望した場合,休暇を取得させるものとしていること
E 労働者派遣の対象とする場合は,派遣先や派遣期間が定められていること
F 外国人が帰国旅費を負担できないときは,受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国
 が円滑に なされるよう必要な措置を講ずることとしていること
G 受入れ機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずる
 こととしていること H 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

 

受入れ機関に関する基準A
■受入れ機関自体が満たすべき基準
@ 労働,社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
A 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこ
 と
B 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
C 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
D 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し,雇用契約終了日から1年以上備えて置くこ
 と
E 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結してい
 ないこと
F 受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
G 支援に要する費用を,直接又は間接に外国人に負担させないこと
H 労働者派遣の場合は,派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで,適当と認められ
 る者であ るほか,派遣先が@〜Cの基準に適合すること
I 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
J 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
K 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
L 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

 

■受入れ機関自体が満たすべき基準(支援体制関係)
※ 登録支援機関に支援を全部委託する場合には満たすものとみなされます。
@ 以下のいずれかに該当すること
ア 過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。以下同じ。)の受入れ又は管理を適正に行った
 実績が あり,かつ,役職員の中から,支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上。
 以下同じ。)を選任 していること(支援責任者と支援担当者は兼任可。以下同じ)
イ 役職員で過去2年間に中長期在留者の生活相談等に従事した経験を有するものの中から,支
 援責任者及び支援担当者を選任していること
ウ ア又はイと同程度に支援業務を適正に実施することができる者で,役職員の中から,支援責
 任者及び支援担当者を選任していること
A 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること
B 支援状況に係る文書を作成し,雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
C 支援責任者及び支援担当者が,支援計画の中立な実施を行うことができ,かつ,欠格事由に
 該当しな いこと
D 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
E 支援責任者又は支援担当者が,外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実
  施する ことができる体制を有していること。
F 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

 

登録支援機関について
1 登録を受けるための基準
@ 機関自体が適切(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)
A 外国人を支援する体制あり(例:外国人が理解できる言語で支援できる)
2 登録支援機関の義務
@ 外国人への支援を適切に実施
A 出入国在留管理庁への各種届出
(注)@Aを怠ると登録を取り消されることがある。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。特定技能は、人出不足の産業分野で外国人を雇用できる制度ですので、検討をお考えの企業も多いかと思います。また、技能実習2号を終える外国人も特定技能に移行したい方も多いのではないでしょうか。
特定技能は制度の内容も複雑で、外国人の要件が該当すると思われる場合でも、雇用する企業側に多くの遵守事項や要件があります。要件を満たせるかどうかをあらかじめ十分検討するとともに、特定技能1号外国人の支援内容については十分に理解しておく必要があります。雇用主としての要件や遵守事項を履行するのが難しいようであれば、費用は発生しますが登録支援機関に委託する方法もあります。

 

参考記事

 

入管法の基礎知識

 

査証(Visa)

 

在留資格について

 

在留資格別の活動範囲

 

申請取次行政書士とは

 

在留資格認定証明書

 

資格外活動の許可

 

在留期間の更新

 

在留資格の変更

 

在留資格の取得

 

技術・人文知識・国際業務のビザ取得方法

 

経営・管理のビザ取得方法

 

企業内転勤のビザ取得方法

 

高度専門職のビザ取得方法

 

技能のビザ取得方法

 

日本人の配偶者等のビザ取得方法

 

永住のビザ取得方法

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