外国籍の元日本人の方のビザ申請
元々は、日本人だった方(日本国籍を持っていた方)で、国際結婚などで海外在住となって外国籍(米国市民権など)を取得した方が、日本に帰国して中長期に居住したい場合は、どのような方法があるのでしょうか?
元々は日本国籍をお持ちだった方も外国籍を取得することで日本国籍を喪失しているため、日本に帰国して中長期間に滞在するためには母国であるとはいえ外国人ですので在留資格(ビザ)が必要になります。この場合には「日本人の配偶者等」という在留資格(ビザ)を取得することになります。
外国籍を取得することで日本国籍を喪失するというのは、日本は基本的に二重国籍を認めておらず、国籍法では、「日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」と定めています。(国籍法 第11条)
「日本人の配偶者等」という在留資格は、日本人の配偶者(夫または妻)のみでなく、その実子及び特別養子に対して許可される在留資格です。「元々は日本国籍があった方」というのは、ご両親(あるいは父親、母親のいずれか)が日本人である方ということになります。この場合、この方は、在留資格の「日本人の配偶者等」で定められる身分のうち、日本人の「実子」ということになりますので、この在留資格の申請ができるわけです。
ここでは、この在留資格を取得して日本帰国する方法を解説しします。
日本人の配偶者等ビザ申請のポイント
ビザを申請する前に、確認しておくポイントは次の 2つです。
1.日本の戸籍において除籍となっていること
2.生計(生活支弁能力)の要件と身元保証人
以下で詳しく解説します。
1.日本の戸籍において除籍となっていること
日本人の配偶者等ビザ申請においては、ご本人の除籍謄本か親の戸籍謄本を提出する必要があります。元日本国籍・日本人の実子であることの公的証拠ということです。
外国籍を取得した際に、日本に国籍喪失届を提出していれば、戸籍上、除籍となっています。除籍となっていない場合は、外国籍を取得した際に国籍喪失届を出してなかったためということになりますが、この届出がされなかったからといって日本国籍があるということにはなりません。戸籍上は日本国籍があるかのように思われるかもしれませんが、日本国籍は喪失しているのです。この状態で、以前に取得した日本のパスポートを使用したり、新たに申請しようとすると処罰対象になってしまいます。もし、除籍になっていない場合には、まず、国籍喪失届を提出して除籍(国籍喪失届)の手続きを行ってください。
除籍(国籍喪失届)の方法は2つあります。
@お住まいの国の日本大使館・総領事館に国籍喪失届を提出すると、日本の本籍地の役所で戸籍に反映されて除籍となりますが、1ヶ月〜1ヶ月半ほどかかります。
A日本に住んでいる親族などが代理人として市役所へ除籍(国籍喪失届)の手続きを行います。この場合は、委任状が必要になります。
なお、ご本人が日本に短期滞在で来日して役所に行って手続きすることも可能です。
2.生計(生活支弁能力)の要件と身元保証人
日本で暮らす上で、安定収入もしくは十分な資産があるかがポイントになります。
海外在住となって外国籍(米国市民権など)を取得した方が、日本に帰国して中長期に居住したい場合は、通常、日本での収入は無いと思いますので、今住んでいる国で得た収入の証明として雇用先の会社からの給与明細や源泉徴収票(例えば米国のW2フォーム)、預金残高証明書などを提出することで対応できます。外国語で発行された書類となりますので日本語訳も提出しなければなりません。
また、身元保証人は必要となります。 日本人の配偶者等ビザ申請において、今回のような申請する本人が日本人の実子である場合、身元保証人には、日本に居住する親になってもらいます。身元保証人は安定した収入があって、納税義務を果たしている人であることが必要です。外国人が滞在費や帰国時の旅費などを支払えない時は、身元保証人が負担するためです。
身元保証人に求められるのは、あくまでも入国管理法上の責任と道義的責任です。広く知られている民法上の保証人や連帯保証人とは、責任の範囲が大きく異なり、身元保証人の役割は、外国人の「滞在費」と「帰国旅費」、「法令の順守」の3点を保証することです。
しかし、そうはいっても親が高齢であったり、お亡くなりになっていたり、疎遠であったりと身元保証人を頼めないケースもあると思います。そのような場合は、日本に居住する親族であったり知人・友人に依頼するしかありません。このような場合は、理由書を作成して申請します。身元保証人がどうしても見つからない場合も同様です。ただし、理由書を作成して申請しても、身元保証人がいないと在留資格の許可が下りる可能性は当然ながら低くなります。特に親族でない知人・友人の場合は、ほぼ身元保証人としての効果が無いのが現状ですので、許可の見込みは極めて低いと考えられます。あくまで最終手段として考えていただきたいので、何とか日本に居住する親族の身元保証人を探すことをお勧めします。
日本人の配偶者等ビザ申請方法
申請は、日本において出入国在留管理庁に申請する必要がありますので、ご本人が短期滞在で来日して申請するか、親族は申請代理人になることができますので、親族の方に代理人として在留資格認定証明書交付申請を行います。
在留資格認定証明書の手続きは、詳しくは在留資格認定証明書の記事で解説していますのでご覧ください。
また、行政書士が手続きの代行することができますが、詳しくは申請取次行政書士の記事で解説していますのでご覧ください。
なお、本人が日本に短期滞在で来日する場合ですが、短期滞在から日本人の配偶者等など他の在留資格へ変更するのは、やむを得ない事情がある場合を除いて認められないため、お勧めはしておりません。
<参考記事>