国籍喪失と国籍離脱の違い

国籍喪失と国籍離脱。どこが違うの?と思ってしまう話しですが、いわゆる元日本人の方が、やはり日本に戻りたいというケースもよくあります。その際、国籍喪失したのか国籍離脱したのか、その届け出の手続きを行っているのか、といったことを確認しないといけません。
既に日本国籍を失っている事実を届けるのが国籍喪失届で、 届け出ることにより日本国籍を失うのが国籍離脱届です。
国籍喪失届:
日本国民が自己の志望によって外国の国籍を取得した場合は、日本の国籍法の規定により日本国籍を失います。
自己の意思で外国国籍(米国市民権など)を取得した場合は、その時点で日本国籍を失いますので二重国籍とはなりません。
外国籍を取得・選択した時点で日本国籍は失っているのですが、日本側では届け出ない限りその事実を知らないわけです。従って日本国籍を失っているにもかかわらず戸籍が残ったままの状態なので、戸籍から除籍する手続きが必要となるわけです。この手続きが国籍喪失届です。

 

本人(代理の場合は配偶者または四親等内の親族)は、国籍喪失の事実を知った日から3ヶ月以内に届出をする必要があります。
つまり、国籍喪失届は外国籍を取得又は選択した日が国籍喪失日となりますので、 それから3ヶ月以内に届けなければならないものです。

 

このことを知りながら、つまり国籍喪失届の手続きをせずに、既に取得した日本のパスポートを使用したり、新たに日本のパスポートを申請した場合は処罰の対象となります。
このように国籍喪失届は日本国籍を持っていない(失った)「元日本人」が除籍を行う手続きであって、 言うなれば元日本人である「外国人」が出す届出ということになります。

 

国籍離脱届:
それに対し、日本国籍の他に外国の国籍を有する場合、本人(15歳未満の場合は法定代理人)が 大使館を通して法務大臣に届け出ることにより日本国籍を離脱することができます。(二重国籍の方の場合です) この手続きが国籍離脱届です。
届出時点で日本国籍と外国籍の両方を持っている重国籍者が行う手続きです。重国籍者が日本国籍を離脱して外国籍だけになるための届出であって、無国籍になることは認められません。
国籍離脱届は受理された日が国籍喪失日になります。

 

国籍喪失届、国籍離脱届は、どちらも在外日本大使館・総領事館でも出せますが、 日本国内では国籍喪失届は市区町村の役所へ出し、国籍離脱届は地方法務局へ出します。大使館を通して提出した場合、戸籍に記載されるまでに1ヶ月〜1ヶ月半かかります。

 

重国籍となる例
日本人を父又は母にもつお子さんは出生により日本国籍を取得しますが、日本国籍以外に外国の国籍をも取得する場合とは、生地主義といって、父又は母の国籍に関係なく、その国で生まれたことにより当該国の国籍を取得する場合と、血統主義といって、外国人父又は母の血統により当該父又は母の本国の国籍を取得する場合があります。
具体的には次のような場合が考えられます。

 

(1)日本人父母の間に米国、カナダ、ブラジル等の生地主義を採る国で生まれた場合
(2)ドイツ、フィリピン、フランス等の父母両系血統主義を採る国の国籍を有する父(又は母)と日本人母(又は父)との間に生まれた場合
(3)イラン、ネパール等の父系血統主義を採る国の国籍を有する父と日本人母との間に生まれた場合(なお、父が日本人で、母がイラン人又はネパール人の場合は、お子さんはそれら母の国の国籍を取得しませんので、日本国籍を留保する必要はありません)

 

(1)(2)(3)のように海外で生まれたお子さんが、出生により外国の国籍をも取得した場合(いいかえれば、出生により日本と外国の重国籍となる場合)は、3か月以内に出生届とともに日本の国籍を留保する意思を表示(出生届の「日本国籍を留保する」欄に署名・押印する)しなければ、出生の日にさかのぼって、日本国籍を失うことになります。

 

(4)外国人(例えば、カナダ)父からの認知、外国人(例えば、イタリア)との養子縁組、外国人(例えば、イラン)との婚姻などによって外国の国籍を取得した人
(5)帰化又は国籍取得の届出によって日本の国籍を取得した後も引き続き従前の外国の国籍を保有している人

 

国籍の選択をしなければならない
外国の国籍と日本の国籍を有する人(重国籍者)は、20歳に達するまでに(18歳に達した後に重国籍になった場合は、重国籍になった時から2年以内に)、いずれかの国籍を選択する必要があります。選択しない場合は、日本国籍を失うことがありますので注意して下さい。

 

(注1)ただし、令和4年(2022年)4月1日時点で20歳以上の重国籍者については、22歳に達するまでに(20歳に達した後に重国籍になった場合は、重国籍になった時から2年以内に)いずれかの国籍を選択すれば足ります。
(注2)令和4年(2022年)4月1日時点で18歳以上20歳未満の重国籍者については、同日から2年以内にいずれかの国籍を選択すれば足ります。
(注3)以上の期限を徒過してしまった場合であっても、いずれかの国籍を選択する必要があります。

 

<参考>国籍法
(国籍の喪失)
第十一条 日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。
2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。

 

第十二条 出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失う。

 

第十三条 外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を離脱することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を失う。

 

 

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